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Tファイター茜 episode.8

 もうすぐクリスマスですね。
今回は久しぶりのコメント返信もあります。






 Tファイト同好会の存続を賭けた生徒会との戦いから1週間が経った。Tファイト同好会は正式にサークルとして認められ、部室も与えられた。毎日放課後になると、茜は雪乃と合流し湶の待つ部室へと来る。そこで各自、新しいスキルを買うためにTマネーを溜めたり、お互いの力を高めるためにスパーリングをしたりしていた。茜達は今日も、部室へと向かった。

 それぞれが充実した毎日を送っていたが、皆、ある一つの事が気がかりになっていた。

 「今日も姫璃先輩、来てないんですね」

 「うん、もう5日は見てないね」

 部室の扉を開けて、開口一番、茜が部屋を見回して言った。

 「そんなに生徒会の1年に負けたのが悔しかったのかな?早乙女芽衣だっけ?あの子。心配しなくても、そのうちひょっこり戻って来るでしょ」

 雪乃は鞄を机の上に置くと、読みかけの本、ガチンコ・T・ファイトクラブを手に取って椅子に腰かけた。

 「雪乃、そんな言い方……」

 茜も机に鞄を置き椅子に座った。

 「まぁまぁ、この間の負けがショックだったんだと思う。姫璃さんはプライドが高いからね。きっと、彼女は強くなって戻ってくるよ」

 窓から外を眺めながら、湶がそう言った。時刻は放課後のため、下校をする生徒が沢山見える。その中に小さく、金髪の少女の後姿もあった。

 「……さぁ、時間になったらさっそく始めよう?今日は1対2の変則マッチをしよう。茜ちゃんと雪乃ちゃんの二人で、かかってきて良いよ?」

 「本当ですか!?茜!今日こそ湶さんに勝つよ!」

 「うん!覚悟してください、湶さん!」

 「ふふっ、その代り、私も結構強めに行くからね」

 そうして3人は、Tベルを起動した。

 夕方のオレンジ色の街中を、一人の少女が歩いていた。サラサラとした金髪、豊満な胸、むっちりとした太もも。誰から見ても目を引く容姿の少女だが、その目はどこか沈んでいた。

 「はぁ……私には、Tファイトの才能が無いのかしら。街外れのジムに通って、一通りのレッスンはこなしてきたつもり。それでも、湶にはおろか、あの生意気な雪乃、そして2年も年下の早乙女芽衣……。私は……本当は……弱い……。こんな状態じゃ、とてもじゃないけれど、サークルに顔出しなんて……出来ませんわ……」

 そう、姫璃はこの間の敗戦で自信を粉々に打ち砕かれていた。

 「もう、Tファイトなんて……」

 そう言いかけたその時、帰路の途中にある公園の片隅が光っているのが見えた。

「あの光は……Tファイトをしているんですのね」

 Tワールドにアクセスしている時は、自分の周りを囲うようにして光の輪が空中へと伸びている。姫璃は、目を凝らしてみて見ると公園の片隅で5人の女子学生がTファイトをしているところだった。
 
 「でも、あの3人の制服、隣の学園の……なんか、怪しいですわ」

 そう、5人のうち、3人は、隣の雛菊学園の制服だった。しかも、3人とも規定よりもだいぶ短いスカートを履いていて、傍から見ても”真面目”とはかけ離れていた。その3人が姫璃の通う小鞠学園の制服の女子を囲むようにしてTワールドへとアクセスをしている。

 「様子を、見てみようかしら」

 姫璃は公衆トイレの物陰に隠れると、Tベルを起動し、Tワールドへアクセスをした。Tベルの機能から、周囲で行われているTファイトへの自動接続を行い、観戦モードを選択した。

 Tファイトのステージは、特に選択をしなければ周囲の環境に似たステージが自動的に選ばれる。

 彼女達が戦っているステージは、案の定公園だった。トイレを催した建物があり、ブランコがあり、シーソーがあり、ジャングルジムがある。広めの公園。そのベンチが観覧席となっていた。姫璃は、Tワールド内の服装、自分のお気に入りのお嬢様のようなドレスを着てベンチに座っていた。

 公園の中央では、案の定先ほどの雛菊学園の3人と、姫璃の通う小鞠学園の2人がTファイトをしていた。しかし、それは戦いとは程遠いものだった。既に小鞠学園の生徒の一人はぐったりした状態で触手に巻き付けられ、ブランコの柱に拘束されており、もう一人は地面に仰向けに押さえつけられて雛菊学園の3人から凌辱をされていた。

 衣服は剥がされ、手を横に広げたTの字でそれぞれ、右腕と左腕に一人ずつ、そして足にも一人が跨り、ほぼ完全拘束に近い状態でくすぐり責めをされていた。

 二人とも、数十分前から責められていたのだろう、息も絶え絶えになっている。

 「なっ、どういう事!?あんな状態なら、ギブアップするべきですわ……」

 そもそも3対2の不利な戦いで、逆転できない状態なのならばギブアップするのがふつうである。だが、戦いが続けられているという事は、彼女達はギブアップしていないのだろう。しかし、姫璃はTベルに表示されているルールを見て驚いた。

 「そんな……デスマッチ……!双方、ギブアップが出来ず、相手を失神させなければ勝負が終わらないルールだなんて、どうしてそんなルールで……」

 姫璃は近寄ってみた。

 「…………ぁ…………はは……はは…………」

 「もう、だらしなーい。また失神しそうになってるんですけどー」

 「キャハハ、ウケるー。またアソコ弄ったらビクビク言い出すのかなー」

 「やってみてやってみて!」

 動けない事を良い事に、足の間にいる生徒が押さえつけられている生徒の秘部に指を伸ばす。

 クリクリクリクリ……クチャクチャピチャピチャ…………

 「はぁぁん!!イッ、いやぁぁ……あああああああ!!!」

 体をビクビクと無意識に抵抗しているが、3人で押さえられているため、手足は動かず、首や胸がいやらしく動くだけだった。

 「あなた方、一体何をしていらっしゃるの!もうこの2人は戦う気力なんてありませんわ!」

 3人に責められている小鞠学園の生徒は、すでに意識が虚ろとなり、あと数分責められただけで失神しそうになっていた。

 「あぁ?ナニあんた?どっから入ってきたの?つーか、誰ぇ?」

 「あたしたちの空間なんですけどー、邪魔しないでくれる?」

 「マジ出てけー」

 3人は一斉に姫璃の方を向き、にらみつけてきた。

 「デスマッチだなんて、バカな事をしていないで早く止めなさい!もう勝負はついていますわ!」

 姫璃が臆することなく言い返すと、雛菊学園の生徒の一人が立ち上がった。装備は彼女の趣味なのかそれとも普段着なのか、だぶついたジャージ、そしてメッシュの入った茶髪で細身な女性だ。彼女が3人のリーダーらしい。

 「勝負?何言ってんだか。こいつらが大人しくTベルを渡さないから、ちょっとお仕置きしてあげてるだけだしー」

 「そうそう、勝負とかしてないしー。あっちのやつは絶対に失神させない快楽責め。そんでこいつは、絶対に失神させないくすぐり責めってね」

 「Tベルを?そんな、他人のTベルを奪おうなんて、許せませんわ」

 「へぇー?じゃあどうすんの?」

 「このデスマッチ、私も混ぜていただきます。あなた方、この私が成敗して差し上げますわ!」

 Tファイトで団体戦をする時は定員人数を両チームで同じにしなければならない。雛菊学園3人に対して、小鞠学園は2人。つまり、小鞠学園にはあと1人分空きがあるのだ。

 「上等じゃん。デカ胸女。こっちょこちょのアッヘアヘにしてやんよ!覚悟しなっ!」

 「そのセリフ、そのまま返して差し上げますわ」

 こうして、姫璃がデスマッチに乱入した。

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Tファイター茜 episode.6

久しぶりの投稿です。
仕事始めてから、生活がガラッと変わってあまり制作が出来ていません。

ゲームの方も、あまり進んではいませんがちょっとずつ、ちょっとずつ制作をしていますので、もうしばらくお待ちください。









2回戦!内田雪乃vs早乙女麻衣

 「雪乃ちゃん、私は姫璃さんを診てくる。雪乃ちゃんなら大丈夫よ。頑張ってね」

 「うん!私と茜が勝つから、安心して休んでてって言っといてください。姫璃先輩のおかげで、気が引き締まりました」

 そして、次は雪乃が闘技場の真ん中へと立った。

 「どーも、早乙女麻衣です♪」

 「自己紹介はいいからとっとと始めようよ?」

 普段はおちゃらけて、お調子者の雪乃だが今は違った。仲間を倒されて、まるで隠しきれてない彼女の怒りを、茜は初めて感じていた。

 「せっかちですねぇー。いいですよん、すぐにイカせてあげますよ?先・輩♪」

 麻衣がそう言い終わるか否かの時、先に雪乃が動いた。3メートル程の距離を、一瞬で詰めて麻衣に襲い掛かった。雪乃の早い。しかし、麻衣の反応速度も決して負けてはいなかった。押し倒そうとしてくる雪乃の手を取り、力比べの状態に持ち込んだ。

 「んっ……そんなフリフリの服着てる割には、中々、力強いんだね……えっと」

 「早乙女麻衣ですよ、雪乃先輩。10秒くらい前に自己紹介したじゃないですか」

 「ああ、そうだったね…、これで、どうだっ!」

 雪乃は力比べしていた手を下に引きながら離し、同時に飛び上がって麻衣の顔を太ももでまたぐようにして飛び乗った。そのまま体重をかけて麻衣を後ろへと倒した。

 「んんっ!」

 とっさの事に、麻衣は反応が遅れ、仰向けに倒されてしまった。

 「ぶはっ、退いてよ!」

 雪乃の膝で両腕を押さえられ、麻衣は足をバタバタとさせて抵抗する。しかし、雪乃がそれを許すはずもない。

 「私の戦いはスピード命。速攻でイカせるかくすぐって失神させるよ!」

 そう言って雪乃は、空いている両手を麻衣の下半身に伸ばしてきた。しかし――

 「私も、スピード命なんだよーっと」

 麻衣がそう言った瞬間、雪乃の体が20センチほどストンと落下した。

 「え――っ!?」

 ペタンと地面に座り込んでいる雪乃。唖然とし、辺りを見回すが、麻衣の姿は何処にもなかった。上から押さえていたはずの麻衣が、唐突に消えてしまったのだ。

 「そ、そんな!?どういう事!?まだイカせても失神させてもないのに、麻衣が……消えた?」

 雪乃は立ち上がり、用心しながら周りを見回すが麻衣の姿はどこにも見当たらない。

 ――と、その時雪乃は急に後ろからわき腹をくすぐられた。

 「ひゃぁ――っ!?」

 驚いて振り向くと、後ろには麻衣がいた。

 「そんなバカな……!」

 「あはは、私を捕えられますか?先・輩?」

 麻衣はそう言うと、目の前で唐突に姿を消した。

 「ッ!ヤバいっ!」

 雪乃は慌てて闘技場の一角へと移動し、角に背を向けた。相手が見えない以上、不用意に後ろを取られる事は大変危険なのである。

 「そんな……、消えるスキルなんて……どうやって戦えば……」

 闘技場をあちこち見回すが、やはり麻衣の姿は見当たらない。

 「――うわッ!!?」

 急に雪乃の視界が揺らぎ、体がもちあげられた。
 
 「こーこだよー!驚いた?」

 一瞬の出来事である。なにも分からないうちに、金網を掴んだ麻衣の両腕の上に雪乃は乗せられられる形となっていた。

 「こういうのは、効く?」

 麻衣はそのまま、雪乃の股間に顔をうずめた。下着に包まれている雪乃の秘部に、息を吹きかけ、舌で舐めまわし、しゃぶりたてた。

 「ひゃっ、くっ、降ろしてよっ!!」

 雪乃は金網に指をひっかけ、懸垂の要領で自分の体を持ち上げた。そして両足で金網を蹴って飛び降りると、反対側のコーナーへとサブスキル、マックススピードを使い素早く移動した。マックススピードとは、コストは高いが一定時間目にも止まらぬ速さで移動できるスキルだ。

 「一体、どうなってるの……。急に消えたり、いきなり下から現れたり……」

 コーナーを背にし、雪乃は身構えた。

 「煙のように消えて、相手の思わぬところから現れる。これが私の戦い方だよー、先輩」

 麻衣は、ゆっくりと歩いてくる。

 「私のマックススピードみたく、一定時間透明になれるスキルがあるってこと?一体、どうやって戦えば……」

 「さぁ、チェックメイトだよ……先輩!!」

 ダッっと芽衣は地面を強く蹴り、雪乃へと飛びかかった。コーナーを背にしているため、後ろの押し倒される事は無いが、後ろの足を突っ張り、両手を前にして受け止める姿勢で迎え撃った。

 しかし、またも目の前にして芽衣は一瞬で消えてしまった。

 「――……ッ!?」

 だが、芽衣が消えた瞬間、視界の隅へとチラッと、何かが移動するのを雪乃は捉えた。

 「えっ、まさか……」

 距離を取り、その場所を凝視する。

 「見つけた!そういうスキルだったのか……」

 「あーあ、見つかっちゃった」

 雪乃は芽衣の姿を捕えた。芽衣は姿を消していたのではなかった。身長10センチほどの大きさとなり、素早く雪乃の死角に入り込むことで消えたと思わせていたのだ。

 「小さくなるスキルなんて、そんなのあるんだ……。ハッ――!あの時もっ!」

 先ほど雪乃の真下から急に現れた時は、足の間でスキルを解いて元の大きさに戻ることにより、先ほどのように急に下から現れたかのように演出していたのだ。

 「ふふふ、小さいからって舐めないでよ?スピードは通常と変わらないんだから」

 芽衣はそう言うと、雪乃目がけて走り出した。チョコチョコと、物凄いスピードで距離を詰めてくる。

 「うえっ、まるでゴキブリみたい……、でも、姿さえ見えちゃえばあとはこっちのものだよ!メインスキル発動!拘束具召喚!」

 拘束具召喚とは、マジックハンドや触手とは少し変わった特性のメインスキルである。マジックハンドや触手は使用者の意志によりさまざまな動きを加えて相手を責める事や拘束することが出来るが、拘束具召喚は違う。このスキルは相手を責めることは出来ない。しかし、その代りに拘束力は触手やマジックハンドよりも優れている。

 一度捕獲されてしまえば、ほぼ自力での脱出は不可能だ。

 「な――ッ!?」

 ましてそれが今の10センチ程の大きさの芽衣なら尚更である。芽衣の召喚した数センチの拘束具一式は芽衣を捕えた。芽衣はX型の拘束台に手足を伸ばした状態で大の字に拘束された。

 「そっ、そんなっ!こんな小さな拘束具なんて……」

 「相手の大きさに合わせた拘束具が召喚されるのは当たり前だよ。ただ、普通の状態で拘束された後に小さくなれたらあるいは、脱出できたのかもね♪」

 芽衣は勝利を確信し、拘束された芽衣を台ごとつまみ上げた。小さくガチャガチャと、芽衣が手足を暴れさせている音がする。

 「さーて、どうしてやろうかな~」

 「く――ッ、絶対に許さないんだから!」

 「まずは先輩への口のきき方を教えてあげないとね~」

 普段、雪乃が先輩と話す時には気にも留めていない事だ。

 「こんなに小さいと指とかで責めてもあんまり効果無さそうだな……よし、決~めた」

 ニンマリと嫌らしく笑うと、雪乃は自分の髪の毛を数本抜いた。

 「この大きさだとこういうのが効きそうだね」

 雪乃は大の字で拘束されている芽衣の服をむりやり引き千切ると、数本束ねた髪の先でサワサワとじれったく、がら空きの腋をくすぐり始めた。

 「ふひゃっ!ふんんんんんっ……ッ!!」

 「お、耐えてる耐えてる?小さいのに可愛いねぇ~」

 雪乃は、抵抗が出来ない、わずか10センチほどの芽衣をいじめる背徳感にも似た内側から湧き上がってくる感情を押さえられなくなっていた。

 「私の髪の毛責め、いつまで耐えられるか見せてみなよ」

 こしょこしょ、こしょこしょこしょ……

 更に数本の髪の毛を抜き、両手に少量の束ねた髪を持った。そしてサワサワと、拘束された芽衣の体中を滑るように這いまわせる。
 
 「んんんっ!んひひっ!!」

 芽衣は息を止めて我慢しようとする。

 しかし、たかが髪の毛数本でも、今の芽衣にとってはまるで筆で体中をなぞられているように思えた。二の腕から腋を通り、わき腹から腰を通過し、太もも、膝、そして足の裏まで到達する体の横のラインを左右から何往復も、何往復も責められてはとても我慢が出来るものでは無く、限界はやがて訪れた。

 サワサワサワ……こしょこしょこしょこしょ……

 「ひゃんんん~~っ!!んひゃひゃひゃひゃひゃ!!!髪の毛やめてぇぇ!!動けないの辛いよぉぉっははははは!!」

 完全拘束された大きさ10センチの芽衣を自分の髪の毛でいたぶっているその姿は、傍から見るとまるで土遊びをしている子供のようだ。だが、やられている方にとっては溜まったものでは無い。同じ大きさの人間同士ならば、腋から足の裏まで責めるのにも多少の移動の時間がかかる。しかし、今の雪乃はその多少の移動の時間すら必要なく腕を少しずらすだけで全身を絶え間なく責めたてることが出来るのだ。

 「おほっ、お願いだからぁああ!!も、もう…………ぎ、ギブアップぅぅぅ!!」

 この絶望的な状況では、何の打開策も見つかるはずもなく、芽衣はギブアップ宣言をした。この瞬間、雪乃の勝利が確定した。

 「な~んだ、ギブアップしちゃうのか。その生意気な顔、白目向かせて涙と涎でぐしゃぐしゃにしてあげようと思ったところなのに~」

 雪乃はスキルを解くと、振り返りもせずに自分の応援席へと戻っていった。

 「……この屈辱……絶対に晴らす……」

 芽衣は悔しさを噛みしめながら舞台を去っていった。

 雪乃がくすぐり同好会の応援席に着くと、茜が準備運動をして待っていた。

 「さぁ、次は茜の番だよ。頑張ってね!」

 勝敗は一勝一敗、茜と恵理香の戦いですべてが決まる。

 「じゃあ、行ってくる」

Tファイター茜 episode.5

初戦!堂園姫璃vs早乙女芽衣


 「あの早乙女姉妹って子たち、強そうだなぁ」

 「どんなスキルを使ってくるんだろう」

 観客席では湶と雪乃が相手の観察をしていた。

 「でも茜、本当に大丈夫? 恵理香って先輩も弱くはなさそうだよ?」

 「うん、大丈夫。頑張るよ」

 「落ち着いて戦えば大丈夫ですよ、茜ちゃん」

 「はい!」

 闘技場の中央では、ドレス姿の姫璃と、ゴスロリ姿の芽衣がお互い距離を置いて向き合っていた。

 「行きますわよ!メインスキル、触手召喚プラス!」

  姫璃が先に動いた。発動された触手召喚の上位スキル、触手召喚プラスによって、2本の”人の腕程の太さ”の触手が芽衣に向かって伸びて行った。


 「姫璃先輩、上位スキルまで持ってたんだー。スパーリングとかで使ってたっけ?」

 「スパーリングはあくまで技の練習のため。上位スキルを使って勝つのが目的じゃないからね」

 「ふぅん、そうなんですか。どうせ持ってるなら使えばいいのに」

 「本当に勝ちたい時に、彼女は本気になるタイプなのね。そういう所は雪乃とそっくり」

 「失礼なーっ!」

 このように、闘技場での姫璃とは対照的に、Tファイト同好会サイドの観客席では上位スキルの使用の話で盛り上がっていた。


 

 「ほらっ、ぼさっと突っ立ってるだけじゃ私の触手の餌食になりますわよ!?」

 「……んっ」

 姫璃の触手が芽衣の細い足首を捕え、そのまま芽衣を引きずり倒した。

 「さぁて、このまま足を開かせてやりますわ」

 姫璃の意志により、触手は芽衣の足を左右に開く。

 この状態は、かなり絶望的だ。しかし、やられている芽衣は先ほどから全くの無表情である。まるで姫璃がどういう攻撃をしてくるのかを見ているかのようだ。

 「ふん。余裕ですわね……でも、こうされてもその余裕ぶった顔を保っていられるかしら? 私はあと一本、触手を召喚できますわ!」

 パチンッ――と姫璃が指を鳴らすと、地面から3本目の触手が現れた。そしてその触手は、芽衣の大きく開かれた足の間からスカートの中に侵入し、体のラインに沿ってクネクネと蠢きはじめる。

 「ふふふ、この触手は、特別ですわ」

 触手召喚プラスは、通常の触手召喚と違いさまざまな種類の触手を扱うことが出来る。今、芽衣の服の中で体をなぞっている触手はフワフワとした毛で覆われたものだった。
 
 まるで沢山の筆で体をなぞられているような、くすぐったい刺激が芽衣を襲う。

 「……く……くふっ…………」

 「……表情の変化が無くて、効いているのかどうか分かりませんわね」

 芽衣は、両手は自由なため、反射的に腋をガードするように手を縮こませるが、芽衣の表情からは今の攻撃が有効なのかどうか見極めることは出来なかった。

 「それなら、これでどうですのっ? その大きく開かれた足の間の弱点、責めさせていただきますわよっ!」

 毛のついた触手に芽衣の体を責めさせつつ、姫璃は芽衣の足の間に座り込み、純白の下着に守られた秘部に指を這わせた。

 人差し指と中指を割れ目にそって交互に上下させ、的確に快感を与えていく。そして、そのじれったいような動きを徐々に激しくしていき、最終的にはパンティをずらして直接秘部を指でクリクリと刺激し始めた。

 毛細触手による刺激と、姫璃の指による刺激。芽衣は全く無抵抗のまま、この二つの大きな快感を受け入れていた。

 しかし、一向に効いている気配はない。芽衣の秘部はジュクジュクと音を立て始めているにも関わらず、冷静な表情で、まるで人形のようにされるがままになっていた。

 「……あなた、勝つ気はあるんですのっ? しかしこうまで快感に強いとは、もしかして快感耐性のサブスキルを付けているのかしら……それならば、作戦変更ですわっ!」

 姫璃はグラウンド状態のまま芽衣を後ろから羽交い絞めにし、絡みつくように自分の足を芽衣の足へと絡めた。つまり、芽衣は仰向けの状態で後ろから姫璃に動きを封じられていることになる。

 「触手によるくすぐり、受けていただきますわっ」
 
 姫璃は、芽衣の足を拘束していた触手をほどき、2本の触手の先端を腋の下へと当てた。そして触手の先端を使いグニグニと腋の下をくすぐり始めた。残りの一本の毛細触手は姿を変え、”太もも程の太さ”の触手となった。そして、先端がパカッっと割れ、触手の中から沢山の細い触手が現れた。
 
 「この大量の触手であなたの足の裏をくすぐってやりますわ。片足しか責められないのが残念ですけど。今度こそ、その余裕ぶった表情を涙でグシャグシャにしてやります事よっ!!」
 
 触手は器用に芽衣の可愛らしい靴を脱がし、黒タイツに包まれた足の裏をめちゃくちゃに這いまわった。
 
 「ふふふっ、暴れても無駄ですわっ! 私ががっちりと押さえ込んでいますから、このまま触手のくすぐりで笑い死になさいっ!」

 「…………くひっ……ひゃんっ……」

 「効いてきたようですわね。やはり、快感耐性のサブスキルでしたか。このまま何の抵抗もさせないまま、勝負を決めてやりますわっ!」

 今まで無表情だった芽衣の顔がくすぐったさに歪み始めた。姫璃は、その反応を見逃さず、ここぞとばかりに触手を激しく動かしくすぐった。

 「ひゃひひっ、さすがに……許容範囲を超えてきたようです……でも、あなたの攻撃力は見切りました……私のメインスキルを発動します」

 「ふんっ、今更どんなスキルを使おうと、この絶対的な状況から覆せは――ッ!?」

 芽衣の周囲が眩く光りはじめた。姫璃は目の前の光に、思わず目をつぶってしまった。

 「……さぁ、これからは私の番ですよ?姫璃先輩」

 姫璃が目を開けると、相変わらず自分の真上で羽交い絞めをされている芽衣。一瞬目をつぶってしまったことに不安がよぎったが状況は何も変わっておらず、安堵した。

 「はぁ、はぁ、ビックリさせてくれますわね。そんな、固められて手も足も出ない状態で何を言おうと、しょせんは強がり。状況は何も変わっていませんわ」

 「……果たしてそうでしょうか?」

 妙に落ち着き、自信に満ちている芽衣の言葉に、姫璃は状況を見渡した。

 「あ……っ、そ……そんな!なぜ!?」

 そして見つけてしまった。芽衣の体から光が発せられる前と後、その違いを。

 「なぜ……、私の召喚した触手が消えているんですのっ!?スキルを解いた覚えはありませんのに……ッ」

 そう、姫璃が召喚した触手が消えているのだ。

 「……これからは、私の番ですよ?先輩」

 ズザ――ッ!!っと、姫璃の周囲で地面が破ける音がした。3本の触手がウネウネと鎌首をもたげている。

 「なっ!?これは、触手召喚!?そんな……サブスキルは恐らく、くすぐりにも快感にも耐性が付く両耐性スキル……そしてメインスキルは私の触手を消した謎のスキルだとしたら、どうして更に触手召喚まで使えるんですのッ!?」

 困惑している姫璃だが、芽衣の触手は待ってはくれなかった。2本の触手が芽衣を羽交い絞めしているためにがら空きのわき腹を両方からグニグニと刺激し始めた。

 「ひゃははっ、いっ、意味が分からないですわっくひひっ、ははははははははっ」

 くすぐりにより手の力がゆるんだところを狙い、残りの1本の触手が芽衣の胴体に巻き付いて姫璃から引き離した。

 「……これが私のマジックです。上位の触手召喚、面白いスキルですね。さっき受けていて一番効いた触手で責めてあげます」

 芽衣がそう言うと、3本の触手全ての先がパカッと割れ、触手の中から無数の細い触手が現れた。1本の触手につき、30本はあると見て取れる量のため、3本合わせると触手の数はおよそ100本に届きそうな数となった。それが体中を這いまわるのだからたまらない。

 細い触手のため、ドレスの隙間から腋や胸、太ももや陰部、膝の裏や足の裏と、様々なところに入り込んでくる。

 「はぁんっっうううっ、ずっ、ずるいですわぁあっはっはっははははは!ひゃぁああんっ!!」

 「……その反応だと、サブスキルは快感耐性ですね。快感に弱いんですか。んー、くすぐりで責めようか、それとも耐性の許容範囲を超えるような快感で責めようか……悩みます。どっちがいいですか?」

 触手による拘束はされていないため、逃げる事は不可能ではないのだが触手の海に舐めまわされ、体に力が入らない。芽衣はと言うと、離れた所で一人、ちょこんと体育座りをして姫璃の笑い悶える姿を見ていた。

 「あはははははははっ!ちょっ、調子にっ乗らないでっ!!ひゃぁんっ!!触手召喚んんんん!!」

 姫璃は触手に弄ばれながらも懸命に意識を集中し、座っている芽衣に狙いを定めた。しかし、触手は現れない。

 「……決めました。姫璃先輩はくすぐりで倒します」

 「な、なんでぇぇええっはっはっはっはっはははは!!どうして私の触手がぁああああっはっははははははは!!」

 「……なんで出ないか?もう出てるからじゃないですか?さすがに4本以上は扱えないですよね?」

 「姫璃さん!!触手スキルを解いて!あなたはまだ触手スキルを解いてないんです!あなたを責めているその触手は、芽衣さんの召喚した触手ではなくて、あなたがさっき召喚した触手なんです!!」

 観客席にいる湶が叫んだ。

 「……さすがは湶先輩ですね。その通りです。先輩がさっき言った、『サブスキルは恐らく、くすぐりにも快感にも耐性が付く両耐性スキル……そしてメインスキルは私の触手を消した謎のスキルだとしたら、どうして更に触手召喚まで使える』か……。先輩はもうこの段階で私のマジックにはまっていたんです。私のスキルは、相手のスキルを奪う能力。しかも嬉しい事に、スキルを使用する時に使う精神エネルギーは相手持ちなんです」

 「はぁ……はぁ……そうと分かれば…………ッ」

 姫璃は、自分に這いまわる触手を消した。
 
 「……このまま勝てると思ったんですけど。仕方ないですね」
 
 芽衣は立ち上がり、姫璃の方へと足を進めた。姫璃は疲れ切り、豊満な胸が上下するほど、大きく肩で息をしている。

 「……最後は私の手で終わらせますね」

 芽衣は姫璃の足の間に立つと、すとんっと腰を下ろし、姫璃に体を絡み付けるように押さえ込みに入った。そして、細い指を姫璃のパンティー越しにクリクリと這わせた。

 「はぁ……はぁ……くっ、体に……力が………」

 「……さっきの自分の触手にやられて、もうココはびしょびしょですね。そう言えばあれって、自分の触手で自分を責めていたわけですから、オナニー……なんでしょうか?恥ずかしいですね、先輩」

 「……う、うるさい……ですわぁ……んっ……」

 芽衣は、言葉巧みに姫璃の快感を高めていく。トリッキーなスキルだけでなく、純粋なTファイトのレベルもかなり高いようだ。芽衣はパンティー越しに責めていた手を、姫璃の秘部に直接差し込んだ。指はヌルリと入り、くちゅくちゅと音を立てて姫璃を責めていく。
 
 必死に手で芽衣を振りほどこうとするが、疲れと快感で体が言う事を聞かない。

 「い、いやぁ……負けたくっ……無い……負けたくないですわぁあああああ嫌ああああああああ――!!………………」

 姫璃は、白目を向きだらしなくイってしまった。ぐったりとした体が透けて行き、闘技場から消えた。

 「……予定通りの勝利。ほぼ、ノーダメージです。麻衣、次はあなた。頑張ってね」

 Tファイト同好会vs生徒会の戦い。初戦は生徒会に軍配が上がった。

Tファイター茜 episode.4

今回はエロ無しです。

ピンチ!Tファイト同好会!

 「あーかねっ!」

 未だ、昨日の疲れが取れず、どこかぼんやりとしながら登校している茜の後ろから、聞き慣れた元気な声が聞こえた。

 「ん?雪乃、おはよう」

 「なに茜、疲れてるねー♪昨日の茜のイキッぷり、見事だったよー」

 「ちょ、ばか!朝から大声でそんな事言うな!」

 何人か振り向いた通行人の目をはばかる様に、茜は足を速めた。その後ろを雪乃が付いて行く。

 小鞠学園に着き、教室を目指す2人。教室は隣同士のため、最後まで一緒だ。2人はふと、Tファイト同好会の張り紙に目が行った。

 「なにあれ?」
 
 「なんか……貼ってあるね。見てみよう」

 ――このサークルへを許可することは出来ません。つきましては、サークルの代表者は昼休み、生徒会室へと来てください。 生徒会役員 青木恵理香――

 と書いてあった。

 「な、なにこれっ!!どういう事よっ!」

 怒りのあまり、雪乃は生徒会からの張り紙を破り、グシャグシャと丸めて鞄に突っ込んでしまった。

 「青木……恵理香……あの人だ……」

 「茜!昼休み、湶さんとこ行こう!」

 「う、うん……」

 4時限目の授業が終わり、小鞠学園は昼休みとなった。
 
 「さぁ、茜行こう?」

 チャイムが鳴り終わると同時に、雪乃は茜の教室のドアを勢いよく開けた。まだ先生やほとんどの生徒が授業の後片付けをしている中、茜は雪乃に引っ張られて教室を出た。

 「ねぇ雪乃。湶さんどうするんだろう?」

 2人は廊下を小走りで3年の教室まで進んでいく。

 「ん?とりあえず、3-Bの教室前まで来て欲しいって、Tベルにメールが入ってた」

 「そんな機能もあるんだ!Tベル!」

 3-Bの前に着いた。すでに湶と姫璃は窓ガラスにもたれかかり、何か話している。

 「「湶さん!」」

 2人同時に湶の元へと駆け寄る。

 「ああ、来てくれたんだね。さっそく話して行こうか。既に知ってると思うけど、私達のサークルが生徒会に目を付けられたみたい。」
 
 「一体、なんで……」

 雪乃が悔しそうにうつむく。
 
 「それが、分からないんですの。一体どういう事なのか……」
 
 「あの……皆に言ってなかったんですけど……」

 茜が重い口を開いた。

 「あの張り紙を張った生徒会役員を、私知ってるんです。実は湶さんと姫璃さんが屋上で戦ってた次の日、私のところへ青木恵理香っていう人が来て……Tファイトサークルはこれから生徒会が主導で、部活動として発展させていくからサークルは認められないって言われました」

 「なっ!そんな事言って来てたの!?」

 雪乃が声を荒げた。

 「こらこら雪乃ちゃん。今は昼休みだから、みんないるからやめよう?とりあえず、向こうの要望通り生徒会室に行ってみるね」
 
 「湶さん」
 
 「大丈夫、私も、このサークルを続けて行きたいと思ってるから。そう伝えてくるよ」
 
 湶は生徒会室へと向かおうとした。しかし――

 「――ちょっと待って下さる?私も行きますわ。あなた一人に行かせて、言い負かされて帰ってきたなんてあったら恥ですわ」
 
 「姫璃さん……」

 「私も行くよ!湶先輩!その青木恵理香ってやつが、どんなやつか顔見てやる!」

 「……雪乃ちゃん」

 「茜も行くでしょ?」

 「……当然っ!それに、あの青木先輩には個人的に用があるからね」

 「みんな……ありがとう……」

 湶は今まで見たことのないような優しい笑みをこぼした。

 「じゃあ行きますわよ!身の程知らずの生徒会に、抗議しに!」

 奮い立ったように、姫璃が先陣を切った。

「――あんたがしきるな!」
 
 しかし、横から雪乃によって野次が入ってしまった。
 
 「あんたとは何よ小娘!」

 「まぁまぁ、のんびりしてると昼休みが終わっちゃうから、早く行こう?」

 さすがはこのサークルの代表者だけあり、湶はしっかりしていた。

 「「「おー!」」」

 そして、4人は生徒会室へと向かった。





 「ここが生徒会室か……」

 学園の3階の一番奥にある部屋、生徒会室だ。茜にとっては、つい先日足を踏み入れた部屋である。

 「失礼します」

 ガラガラと音の鳴るドアを引き、湶は中へ入っていった。後から姫璃、雪乃、茜が続く。部屋に入ると、生徒会の役員が4人、教室の中で座っていた。そして、その中で一人だけが立ち上がり、一歩前へ出た。その人物は、深い青髪のショートヘアで、体つきは見た感じ細見だがどこか威厳を醸し出していた。

 「お越しいただけて光栄です。学園長の孫娘、篠原湶先輩……と、その他の方々もいらっしゃったのですか」

 「ちょっと!私をその他に分類するなんていい度胸じゃな――」

 「――あなたは確か……」

 「申しおくれました。私、この小鞠学園の副生徒会長を務めさせていただいております桜井由華と申します」
 
 桜井由華。彼女は2年生でありながらも、副生徒会の他に、女子剣道部の主将を務めるほどの人物であり学園内では有名人である。
 
 由華が一礼をしたタイミングで、残りの3人の生徒会役員もこちらを振り向いた。

 「紹介させていただきます。右側から、生徒会部活動執行部役員、青木恵理香先輩です。そして、まだ生徒会に入って日にちは浅いですが、1年の早乙女麻衣さんと、早乙女芽衣さんです」

 茜と恵理香の目が合う。

 「ええ、覚えておくわ。でも私達は、自己紹介をしにここへ来たわけではないんです」

 「ふふ、分かっています。張り紙の事ですよね。恵理香先輩、お願いします。私はこれで。別の用事があるため、席を外します。」

 由華はそう言うと、茜たちに会釈をし、生徒会室から出て行った。それと同時に、恵理香が口を開く。

 「単刀直入に言いますと、今私達は生徒会を主導としてTファイト部の設立を企画しており、全国大会出場も目標にしています。しかし、ただでさえ人数の少ないこの学園で、あなた達Tファイト同好会に部員を取られてしまうと非常に困ってしまいます。そこで、生徒会からの要望としましては、Tファイト同好会は解散し、あなた達は新たに生徒会の作るTファイト部として活躍していただけないかと――」

 「――お断りします」

 湶は即断した。

 「なっ、これは生徒会からの要望ですよ?そっ、それにっ、私達は全国大会を目指してるんです!あなた達はサークルから、立派な部活動として活動できるって言う事なんですよ?」

 焦る恵理香に、湶は何の曇りもない笑顔で返した。

 「あなた達がどう考えていようと、口をはさむつもりはありません。でも私達のサークルの目標は全国大会出場ではなく、全国大会優勝です。私達は、私達のやりたいようにサークルとしてやらせていただきます」

 「え、全国大会?マジ……ですか」
 
 「湶先輩かっこいー!」

 「言いますわねー」
 
 湶の切った啖呵に、茜以外は大盛り上がりである。

 「……そんな……、あなた達の力が必要なんです……。お願いですから――」

 「――恵理香先輩」

 椅子に座っている、双子のうちの一人、早乙女芽衣が静かに口を開き、1枚の手紙を出した。

 「……会長から、こういうの預かってます」

 「ん?あっはっは、何これー」

 横から覗きこんだもう一人の双子、麻衣は思わず笑い出した。

 「……麻衣、会長は本気なのよ?笑ったら失礼だわ」

 恵理香は、湶や茜たちにも見えるようにその手紙を広げた。そこには、小鞠学園の生徒会長からの伝言が書かれていた。
 
 『Tファイトサークル、解散しないようなら潰しちゃっていーよ♡ 今回、私と由華たんはちょっと他の事が忙しくてそっちまで手を回せないんだ(>д<) ごめんねーw 恵理香たんと双子たんの3人で、サークルの子らと、Tファイトでもやって決めたら?じゃあね☆』

 「……宣戦布告と受け取っておきますわ」

 「確かに、Tファイターとして、勝者に従うっていうのが一番わかりやすいんじゃない?生徒会のおねーさん♪」

 姫璃と雪乃はやる気満々のようだ。

 「恵理香先輩、そいつらの言うとおりだよ。めんどいからTファイトで決めちゃおうよ。芽衣もそう思うでしょ?」
 
 「……うん、思う」

 「会長……むちゃくちゃです……でも、私とて生徒会の一役員……やるしかないですね。放課後、ここに来てください。こちらから出す条件は、私達が勝ったらあなた達はサークルを解散し、部活動として活躍していただく事です。お願いします」

 「ええ、分かった。じゃあこっちから出す条件は、サークルの許可ですね。放課後、また来ます」

 湶たちは生徒会室を後にした。廊下では、先ほどの全国大会優勝の目標の事で大盛り上がりである。

 「まさかそんな大きな目標があったとは、知りませんでしたわ」

 「私もー!でも頑張るよ!」

 「全国大会かぁ……、どんなのがいるんだろう」

 「たはは、ごめんね、なんか引くに引けなくなって、つい言っちゃった。という訳で、みんな頑張ろうね」
 
 「もちろんですわ。私の所属しているサークルなら、それくらい当然です事よ」

 「ところで湶先輩、放課後どうするんですか?」

 「ああ、そうか。忘れてた。多分ルールは先に3戦して、勝ち数の多い方の勝ちってとこだと思う。向こうはさっきの双子と、恵理香ちゃんが相手だと思うけど、こっちはどうしようか?」
 
 「……茜さんには悪いけれど、ここは確実に勝ちを狙って行ける私と湶さんと、この小娘で出た方が良いと思いますわ」
 
 確かに負けられない戦いである。茜にもそれは分かっているが、心のどこかで恵理香にリベンジをしたいと思う自分がいた。

 「……それでいいの?茜ちゃん」

 「……私は――」

 


 「来ましたねTファイト同好会の皆さん」
  
 放課後、茜たちTファイト同好会の一同は先ほど訪れた生徒会室へと集合していた。室内には茜たちの他に生徒会役員の3年、青木恵理香。そして1年の早乙女麻衣と早乙女芽衣がいる。今から湶たちは、Tファイト同好会の存続をかけて、この三人とTファイトを始めようとしていた。
 
 恵理香が一歩前に出てルールを説明し始めた。
 
 「今からあなた方の中から3人選んで、私達とTファイトで戦ってもらいます。3戦し、勝ち数の多い方の勝利というルールでいいですか?」

 「いいよー」

 「構いませんわ」

 「異論なしです」

 「……、うん」

 Tファイト同好会はみな、準備万端だ。

 「なら始めましょう」

 恵理香の開戦の合図をすると、生徒会側の他の2人、早乙女麻衣と、芽衣はTベルを起動しTワールドへと向かった。それに続き、茜たちもTベルを起動する。

 Tワールドへ着くと、生徒会側の3人はすでに準備をしていた。恵理香は、”あれ”から約一週間、練習モードや対戦でTマネーを溜めて装備品を買ったのだろう。茜が依然見た恵理香のTワールド内での服装は通常のスクール水着だったが、今回はメイド服になっていた。

 早乙女姉妹は物静かな芽衣とヤンチャそうな麻衣、二人ともフリルで包まれたゴスロリのような服装をしていた。

 「こちらは1年の早乙女芽衣さん、そして早乙女麻衣さん、私の順番で戦います。そちらも順番を決めてください」

 「こっちの順番はもう決まっていますわ。先発は私、そして2番手は雪乃、そして3番手に茜ですわ」

 姫璃はストレッチをしながら自信満々に答えた。

 「……学園長の孫娘、篠原湶先輩はTファイトが強いと聞いています。てっきり3番手はあなたかと思ってました。麻衣もそう思うでしょ?」

 「うん、思う思う!どういうつもり?こっちは私と芽衣で最初に2勝して、湶先輩との戦いを避けようと思ってたのにー!」

 「あら、言ってくれますわね。顔が一緒で分かりませんわ。どっちが私の対戦相手ですの?1年だからって手加減しませんわよ」

 姫璃は華やかなドレス撫でながら、いやらしい指使いで早乙女姉妹を挑発した。

 「……私」

 芽衣が一歩前に出た。

 正式な対戦をTファイトで対戦をする場合、フィールドはランダムで選ばれる。二人の対戦の準備が出来た瞬間、真っ白なTワールドが急に変化し、四方を金網に囲まれた闘技場のような場所となった。姫璃と芽衣が舞台の中央に立ち、その他の人は部隊を取り囲む観客席に座っていた。

 「泣くまでイカせてあげますわ」

 「…………先輩に私のマジックを見せてあげます」

 そして、Tファイト同好会の存続をかけた戦い、第一回戦 姫璃vs芽衣の戦いが幕を開けた。
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<げら子>
「茜シリーズのストックが底がついたって、げらくが笑ってる」

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